【将棋】対矢倉先手左美濃急戦 局面検討
自分は△4四歩(▲6六歩)型矢倉に対して左美濃急戦をよく仕掛けているのですが、いつも攻め方を間違えてる気がします。
左美濃急戦は矢倉囲いの堅陣に対してとても厳しく攻め立てる戦法で、正確に指しこなせる人なら仕掛けから一挙に矢倉を捻り潰すことができます。
ところが自分は定跡すら知らず攻めがヘタクソなのでどこかで間違えて泥沼化することが多々あり、そろそろ斎藤慎太郎先生の本でも買って本格的に定跡を勉強しようかと考えております。
で、勉強する前に何故攻めがうまくいかないのか、ある自分の実戦局面を題材に少し考えてみることにしました。
先手が左美濃、後手が矢倉です。
初手から
1▲7六歩
2△3四歩
3▲2六歩
4△4四歩
5▲4八銀
6△3二銀
7▲6八玉
8△8四歩
9▲7八銀
[Ⅰ図]
[Ⅰ図]から
10△6二銀
11▲2五歩
12△3三銀
13▲7九玉
14△3二金
15▲5八金右
16△5二金
17▲3六歩
18△4三金右
19▲4六歩
20△5四歩
21▲3七桂
[Ⅱ図]
11手目▲2五歩で先手は後手に態度を決めてもらいます。2筋を角で受けるか銀で受けるか。角で受ければ前述のように雁木戦になり、銀で受ければ矢倉志向になります。
自分は両方とも実戦経験がありますが、今回は矢倉崩しの左美濃戦法ということで銀で受ける形にしてみます。
後手△3三銀を見て、先手はすかさず▲7九玉で美濃囲いに入りました。左美濃急戦は飛車を捌いて角桂+αで一気に攻め潰す作戦で、大駒(特に飛車)を渡すことになるため、玉はしっかりと美濃囲いに収めておきたいところです。
後手は着々と矢倉城を造っていますが、先手も呼応するように攻勢の布陣を整えています。
[Ⅱ図]から
22△3一角
23▲4五歩
[Ⅲ図]
後手は角を使うために△3一角と引きましたが、これに隙ありと見た先手は早くも▲4五歩といきました。ここまでは自分が実戦で指した形です。
6二の銀で横効きが止まっており、かつ△8五歩を突き越していないので後手の飛車は極めて働きが悪く、対して先手は美濃囲いの堅陣に桂馬を跳んで攻防共に良い形になっているため、このタイミングで戦いを起こそうとしたその着想自体は悪くないと思います。
[Ⅲ図]から
24△4五同歩
25▲同桂
26△4四銀
27▲2四歩
28△同歩
29▲同飛
30△2三歩
31▲2九飛
[Ⅳ図]
[Ⅲ図]以下△4五同歩▲同桂△4四銀と三手進んだところがポイント。自分は以下▲3五歩とさらに戦線を拡大したのが失策だったと思います。対して△3五同歩なら▲2四歩から飛車を縦横に捌いて優勢ですが、▲3五歩に対して取らずに△8五歩や△2二角など別の手を指されると、突いた効果が薄く損になってしまいます。矢倉は上部が厚いので、下手な攻めをやると金銀の厚みで押し返される危険性があり、もう少し手厚く攻めるべきでした。
したがってまずは2筋を交換して一段落[Ⅳ図]とし、次に▲4七銀などと銀を応援に向かわせれば、手厚く攻めることができたかと思います。
(飛車の引き場所は▲2九飛がほぼ絶対 ▲2八飛は△6四角と飛車取りに角を出られて先手不満)
桂馬が浮いているので、[Ⅳ図]以下△5五歩には▲4六歩で支えておき、次に▲4七銀~5六歩△同歩▲同銀で中央から攻めて行きます。
[Ⅳ図]以下△6四角のけん制にはそこで▲3五歩と攻め、以下△5五歩は▲4六歩とし、そのまま△5六歩なら▲4七銀△5七歩成▲同金で手厚いと思います。[予想図]
桂馬を跳ねっぱなしにしておいて飛車先を交換して一段落、というのは角換わりなどでも度々見られる戦略ですが、居角急戦にも応用可能なようです。