【将棋】居飛車穴熊考察②【振り飛車対策】
今回は居飛車穴熊に対して駒組みの途中で相手が激しく攻めてきたとき、その対処法について。題材は私の実戦から。
(初手から)
1.▲7六歩
2.△8四歩
3.▲7八銀
4.△3四歩
5..▲6六歩
6.△6二銀
7.▲7七角
8.△4二玉
9.▲6八飛
10.△3二玉
11.▲4八玉
12.△5四歩
13.▲3八玉
14.△8五歩
15.▲2八玉
16.△5三銀
17.▲1六歩
18.△3三角
19.▲3八銀
20.△2二玉
21.▲5八金左
22.△1二香
[Ⅰ図]
先手は▲4六歩や▲3六歩、▲6七銀~5六銀といった穴熊囲いへのけん制もなく、一直線に美濃囲いを組んできたので、後手は予定通り△1二香として穴熊を明示します。
このまま金銀4枚の居飛車穴熊に組めれば後手の作戦勝ちですが、△1二香を見た先手はここで動きを見せます。
(Ⅰ図から)
23.▲6五歩
[Ⅱ図]
先手はこのタイミングで角道をオープンし、後手の穴熊をけん制してきました。この手の意味は、先手の側から▲3三角成と角交換をし、△同桂と取らせることで形を大きく乱すことにあります。
これを受けて後手は△4四歩と角道を止めるのがごく一般的ですが、△7七角成▲同銀△1一玉[参考A図]とすることもできるので迷います。
前者は一番無難で手堅いのですが、自分だけ角道を止めて先手の主張を通してしまった感じが否めませんし、後者は角を捌き合ってさらに金銀の連結がいいしっかりした穴熊を築き上げることはできますが手損が気になります。
ただ、どちらも相当固くまで囲えることは囲えるので、居飛車としても不満がなく有力な順だとは思います。
(Ⅱ図から)
24.△4四歩
25.▲4六歩
26.△1一玉
27.▲4七金
28.△2二銀
29.▲3六歩
30.△5二金右
31.▲4五歩
[Ⅲ図]
Ⅱ図から少し駒組みが進んで30手目△5二金右とした手に対して。この手は次に△4三金と上がって上部を補強しようとした意味があったのですが、これに対して先手はなんと▲4五歩といきなり仕掛けてきました。
(Ⅲ図から)
32.△4五同歩
33.▲3三角成
34.△同桂
後手は△4五同歩として当然。▲3三角成△同桂で形は乱れましたが、それよりも歩得と4五の位が大きく、この時点ですでに後手が有利になっています。
それでも以下△7七銀としておけば、▲4三金△1五歩▲3一金[参考B図]でまだ先は長かったのですが…
(Ⅳ図から)
35.▲5六歩
36.△4六歩
37.▲4八金引
38.△8八角
[Ⅴ図]
先手は▲5六歩としましたが、これも悪手で、後手は△4六歩▲4八金引△8八角と咎めにいきます。先手は角交換したことで角打ちの隙ができてしまっているので、まずはそれを消すために▲7七銀とするべきでした。
(Ⅴ図から)
39.▲7七角
40.△7九角成
41.▲5八飛
42.△8六歩
43.▲同歩
44.△8八歩
45.▲3五歩
46.△4三金
47.▲3四歩
48.△同金
[Ⅵ図]
普通は△8八角のような手には▲7七角と合わせれば△同角成▲同銀となって問題ないのですが、この場合は7九に隙があり、先手は後手に馬を作られてしまいました。
この馬を活かすべく、後手は歩の手筋で駒得を目指します。対して先手は一歩持ったので、桂頭を狙ってきました。後手はこれには金の応援で受けていきます。
49.▲5五歩
50.△同歩
51.▲3五歩
52.△4四金
[Ⅶ図]
先手は▲5五歩で戦線拡大。後手はすでに駒得が確定しているので、これには焦らず△同歩と取るのが最善に思われます。
▲3五歩は△同金と取ると▲5五飛△4七歩成▲5三飛成[参考C図]で少し怖いので、△4四金と寄っておくのが5五の地点で大駒を抑え込む意味もあって無難。
[Ⅶ図から]
▲4五歩
△同桂
▲5五角
△5七歩
▲4四角
△同銀
[投了図]
中央から突破を図る先手に対して、△5七歩で飛車先を止めて▲4四角を△同銀と取ったところで先手は投了しました。投了図は完全に先手陣が抑え込まれ、崩壊しています。
今回は相手の悪手によって試合が早く終わってしまいましたが、穴熊は組み切るまでは浮き駒があってあまり堅くないので、穴熊への速攻は正しく行えばそれなりの脅威となりえます。
ただし、振り飛車側も囲いを乱しての攻勢なので居飛車からの角打ちの隙が生じやすかったり、攻めたところを逆に拠点にされたりといったリスクがあり、正しく応じれば居飛車穴熊はそう簡単には倒れません。